大学の医師求人案内掲示板には、ほんの数枚の求人案内しか残っておらず、私はこのとき就職活動に失敗をしてしまったと思いました。これは、私が大学に通っていた3回生のときのことです。私は将来医師になりたいと思い、大学の医学部を専攻していました。そこで医師免許の取得見込みを認定していただけた私は、卒業と同時に医師免許を取得できる状態になっていました。そのため、3回生の春から就職活動を始めていたのです。この大学には、医師求人案内掲示板というものがあり、大学に寄せられてくる医師求人が、案内票として掲示されていきます。そして学生は、その掲示板から自分のエントリーしたい求人を見つけ、教務に伝えることで、医師求人を紹介していただけるというシステムになっていました。

私が就職活動を始めたとき、その医師求人案内掲示板にはたくさんの求人案内票が掲示されていて、どの病院からの求人にエントリーしようかと、選ぶことのできる状態でした。しかし私は、大学病院にこだわって求人を探していたため、限られた求人にしかエントリーをしなかったのです。大学病院にこだわっていたのは、癌の研究をしてみたいと思っていたからでした。そのため、たくさんの医師求人を目の前にしながらも、興味のない求人は自分で切り捨てていっていたのです。しかし私は、エントリーした大学病院からの求人に、ことごとく不採用になっていきました。その結果、気がついたときには、医師求人案内掲示板の案内票がほとんどなくなっていて、大学病院はおろか、働きたいと思える求人もなかったのでした。だからといって、就職しないわけにもいかず、私はそのうちの1つの求人にエントリーすることにしたのです。それは、離れ小島の小さな医院からの求人でした。私はそのとき、働き始めてから転職をすればいいと考えていたのです。

そうして私は、その離れ小島に移って働くことになりました。しかし私にとって、この医院での医師になることが天職だったんだと、今になって思っています。なぜなら、島の方々に求められ、愛されていることが伝わってくるからです。初めてこの島に来た新人医師である私を、みなさんが暖かく受け入れてくださり、医師としての成長を見守ってくださいました。そんな私は、いつしか転職なんて忘れるようになり、ここで医師を続けたいと思うようになったのです。医師求人案内掲示板に残っていた医師求人は、私の天職でした。

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